協議会発足時の植物遺伝資源の状況

農作物

現在すでに600万点といわれる膨大な数の作物の遺伝資源種子が、国際農業研究センターや各国のジーンバンクに保存されています。しかし、とくに遺伝資源が豊富な多くの途上国において、適切な保存・管理が行き届かず、喪失のおそれが指摘されています。なかでも、果樹など栄養系繁殖作物や地域的な野菜は重要で、これらについての伝承的な知識も同時に失われようとしています。

 

森林生態系

森林は、遺伝資源の宝庫であるとともに、地球環境の重要な担い手です。森林では、鱗木だけでなく、灌木、草本、菌類、微生物などが共存して、特有の生態系を作っています。

 

薬用植物

薬草を主体とする伝統医薬は、とくに開発途上国において大きな役割を果たしています。また近代医薬の開発にも薬用植物の成分が利用されています。このような重要な薬用植物を濫獲による消滅の危機から救うことは、緊急の課題です。

 

人類の活動による危機

人類社会の変貌は、植物遺伝資源の状況に深刻な影響を及ぼしています。農村は都市化され、作物の種類や品種は変わります。これらは社会の発展にともなう現象であり、農業の近代化は農業を持続させるためにも欠くことができません。しかし一方では、将来の人類社会のために、植物の遺伝的多様性を保全しなければなりません。

 

自然環境による危機

遺伝的多様性がうしなわれるのは、人類の活動によるだけではありません。いろいろな環境要因、たとえば植物病害、外虫、土壌侵食、気候の変化、植物間の競合なども影響します。その動向を把握し、対策を講じることが求められます。

 

地域社会との協力

植物遺伝資源の保全の活動には、地域社会との協力が欠かせません。

地域社会によって遺伝資源とともに受け継がれてきた貴重な民族植物学的な知識を将来に残すことが大切です。また地域社会は特有の植物遺伝資源とそれをとりまく生態系の中で成り立っています。地域社会の活動が生態系に悪影響をもたらすこともあります。植物遺伝資源の生息地保全は、地域社会との協力があってはじめて可能です。

 

地球規模の課題

植物遺伝資源は地球規模の課題です。このため国際的な取り組みが行われています。

国連機関

FAO(国際食糧農業機構)及びUNEP(国連環境計画)が、公式の国際活動の主要な役割を果たしています。FAOの食料及び農業のための遺伝資源委員会には、150以上の国が参加しています。UNEPのもとで成立した生物多様性条約は、国際法として環境の立場から、遺伝資源保全への世界的な協力と積極的な取り組みを義務付けています。

国際窯業研究協議グループ(CGIAR)傘下機関

国際植物遺伝資源研究所(IPGRI)が全体の活動の調整にあたるとともに、各地の活動の支援や技術協力を進めています。国際稲研究所(IRRI)、国際半乾燥熱帯作物研究所(ICRISAT)など、作物別や地域別の国際農業研究センターが、それぞれの領域を分担して、約60万点の遺伝資源を保存・管理しています。

各国のジーンバンク

先進諸国だけでなく、多くの開発途上国もジーンバンクを持ち、国々の相互にも国際機関との間にも協力関係を持っています。

知的所有権関連国際機関

世界知的所有権機関(WIPO)や植物新品種保護国際同盟(UPOV)などの知的所有権にかかわる国際機関も、それぞれの分野において遺伝資源の保全・利用の分野で活動しています。

協議会の性格

TASO-PGR

海外植物遺伝資源活動支援つくば協議会は、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づき、2001年10月に茨城県より法人として認定されたNPOです。 

事務局

茨城県土浦市